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作編曲と吹奏楽についての雑記やTipsをお送りするブログ。

コンサートハープの基本構造とノーテーション

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ハープは、オーケストラや大規模な吹奏楽作品でよく用いられています。編成に含むことで楽曲を華やかに彩ることができますが、ノーテーションの際には注意が必要です。実際にハープを曲中で演奏に用いるには、都度都度、特有の操作が必要だからです。

 

 

 

ハープの基礎知識

現在一般に知られているハープは「ダブルアクション・ペダルハープ」と呼ばれています。47本の弦を持ち、全ての弦が変ハ長調全音階で張られています。言いかえると、ピアノの白鍵で「ドレミファソラシド」を弾き、それを一音ずつ下げ、白鍵だけで「シドレミファソラシ」と弾いたような状態です。

 

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暗く網掛けされている鍵盤が初期状態(1オクターブ分)

 

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上の図を5線で表した図(1オクターブ分)

 

この状態では、網掛けのスケールしか演奏できないことになります。これをさまざまなスケールで演奏するためには、任意の弦を半音ずつ上げたり下げたりして調弦する必要が出てきます。そこで用いられているのが「ペダル」です。

 

ハープのペダル

ハープの調弦には、足元に備わっている7つのペダルを用います。ペダルは「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」7音の弦と対応しています。これをそれぞれ踏み込むことで、同じ音名の弦全てを同時に上げたり、下げたりすることが可能となり、任意のスケールを生み出せるようになっています。

このような構造上の特徴から、ダブルアクション・ペダルハープは演奏できない音列が存在します。代表例が、クロマティック・スケール(半音階)です。ハープは半音ずつ順番に音を鳴らすことは出来ません。またペダル操作が必要なことから、急激な転調などにも対応することができません。この点を留意しておかないと、奏者は演奏不能の楽譜を渡されて途方に暮れ、またDAWノーテーションして曲に組み入れても、およそ不自然な演奏や響きとなります。

 

ハープを正しくノーテーションする

ハープのノーテーションに当たって、楽譜を書く人・音源制作に携わる人どちらにもお勧めしたいのがiOSアプリケーション「Handy Harp」です。ダブルアクション・ハープのペダル動作をビジュアルに確認しながら、実際にどのような音が鳴るのかを再現できます。

|||Handy |||Harp Official Website

ペダル動作を再現するだけでなく、予め用意されたコードネームやスケールを選択すれば、瞬時にペダルポジションを再現できます。また、Wi-Fi MIDIを利用しDAWに演奏データを転送したり、Finale、Siberiusと言ったノーテーションウェアにペダル記号を転送することもできる大変優れたアプリケーションです。App Storeから1200円で販売されていますが、価格以上の価値があります。ハープの仕組みをビジュアル、直観的に学習したいという人にもお勧めです。